【第6幕:青生・彫堂の開墾、あるいは家康の縄張りを越えて】
大崎合戦での挟み撃ち、長谷堂での義姫救出と前田慶次との激闘、そして大坂夏の陣における「凄まじき盾」としての不落の奮闘と真田子女の隠蔽工作。幕府の目を完璧に欺き通してこれらすべての戦後処理を完遂した、伊達軍(片倉隊)における寺尾善右之門の圧倒的な大功績。
大坂の陣から数年後、かつて徳川家康が縄張りを行い、今は「岩出山城」と呼ばれるようになった天守閣。豊かになりつつある大地を見下ろす伊達政宗の前に、白髪の混じった無名の善右之門が平伏していた。政宗は畏敬の念を込めた不敵な笑みを浮かべ、一通の朱印状(公式な書状)を差し出した。
政宗:「見事であった、我が軍の『偉大なる大崎の盾』よ。大崎での知恵、長谷堂での母上(義姫)救出と前田慶次との大立ち回り……そしてあの大坂夏の陣における、真田の猛進すらもすべてその身でせき止め、押し返した凄まじき盾としての奮闘! さらに真田の血脈を幕府の目から完璧に隠し通したその沈黙の執念……この伊達政宗、深く感じ入った。かつて秀吉めによって加美の四日市の領地を『なし』にされ、家名を奪われたお前たちの無念、今こそこの俺が晴らしてやる。今日この時を以て、お前に『中目』の名を公式に返す!」
善右之門が震える手で朱印状を拝受しようとしたその時、政宗の眼光がさらに鋭さを増す。
政宗:「だが、中目よ。ただ名を返すだけでは終わらん。かつてこの城を大改修した大御所・家康殿の目を盗み、お前が寺尾の名で尽くしてくれた忠義、今度はその現場の知恵と、執念の開拓術として伊達のために振るえ。お前に『青生(あお)』、ならびに『彫堂(えりどう)』の地の開墾を命ずる! 大坂の猛攻をすべて防ぎきったお前のその不屈の力で、あの誰も手をつけられぬ荒れ地を、豊かな黄金の郷へと変えてみせよ。臨機応変に、見事成し遂げた暁には――お前たち一族が最も愛し、寺尾の名を名乗ってまで守り抜いた不滅のルーツ、『宮沢200石』の土地を中目の実家として終身安堵(保証)する。行け、中目の漢よ!」
拝領した青生・彫堂の地は、当時まだ誰も開くことのできなかった不毛の荒野。しかし、善右之門にとってそれこそが、秀吉の不条理な裁定に対する本当の「復讐」であり、中目の生き様そのものであった。
善右之門:「……ありがたき幸せ! 泥を這い、すべてを護る盾となることこそ、我ら中目の真骨頂。青生も彫堂も、この手で必ずや実り豊かな大地へと変えてみせましょう!」
善右之門は中目の名を胸に、すぐさま青生と彫堂の現場へと赴いた。かつて兵庫館の炎を共に生き延びた農民たち、配置された敷玉・宮沢の民と共に、泥にまみれて鍬(くわ)を振るい、水を引き、不屈の執念で荒れ地を次々と切り拓いていく。岩出山の麓に刻まれた「内川」の水利の知恵は、この青生・彫堂の開墾によってさらに洗練され、大崎平野全域へと広がっていくこととなる。
数年の死闘の末、青生と彫堂の地を見事な水田地帯へと変貌させた善右之門は、政宗公との約束通り、勝ち取った最愛の故郷「宮沢200石」の領地へと堂々の帰還を果たし、そこを不滅のご実家とした。中目の一族は、この拝領した宮沢の地に深く根を下ろし、何があろうともここから動かず、永遠に生き続けることを誓うのだった。
「この物語のどこまでが真実で、どこからが虚構かは、読者の想像にお任せします。」

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