〜桓武天皇の血を引く男、なぜか未開の地方市場(ローカル)で無双する〜
第2話:東京の超一等地から大崎へ(渋谷本店からの大転勤)
地方の現場で圧倒的な「開発力」を証明したなかのめさん一族。 次に彼らが仕掛けたのは、今や流行の最先端である東京・渋谷エリアでした。
今でこそ誰もが知るスタートアップの聖地ですが、当時はまだ誰も目をつけていない未開拓のエリア。そこにいち早く目をつけたなかのめさん一族は、持ち前の現場主義で地域に根ざした巨大なオフィス――通称「渋谷本店」を立ち上げることに成功したのです。
なかのめさん一族は、「渋谷の街のことなら、路地裏のWi-Fiスポットからコミュニティのキーマンまで、すべて知り尽くしている」と言われるほどの、地域密着型トップ営業マンとして大活躍していました。
そんなある日のこと。 鎌倉の統括本社から、グループ最高経営責任者(CEO)である源頼朝(みなもとのよりとも)の電子署名が入った、一通の辞令(大転勤命令)が届きます。
「なかのめくん。君たちの渋谷本店での素晴らしい実績を高く評価した。ついては、我が社の社運をかけた特大の国家プロジェクト(奥州合戦の戦後処理)を任せたい。今すぐ東北の『大崎地方(現在の宮城県北部)』へ転勤して、現地支社を立ち上げてくれ」
当時の大崎地方といえば、東京の本社から見ればはるか遠く、インフラも市場も全く整っていない、いわゆる限界ローカル現場。渋谷本店の華やかな一等地で誰もが羨むポジションにいたなかのめさんですから、普通のサラリーマンなら「えっ、渋谷の一等地から地方左遷ですか……?」とショックを受けるところでしょう。
しかし、地味なサラリーマンなかのめさんは、いつものように穏やかに微笑んでこう言いました。
「大崎地方ですか。いいですね、新しい現場の開拓はワクワクします。ブランド物のお店やハデなイベントが多い渋谷(飾り)も魅力的ですが、これからは東北の地方市場という手付かずの大地(中身)を耕す時代ですよ」
なかのめさんは、渋谷本店での華やかなキャリアや役職という「飾り」にいっさい執着することなく、黒いノートPCと最小限の荷物をバックパックに詰め込んで、すぐに東北行きの新幹線(馬)に飛び乗りました。
大崎の現場に到着したなかのめさんを待っていたのは、冷たい風が吹き抜ける広大な未開のマーケット。ですが、なかのめさんの目はプロの輝きを放っていました。
「なるほど、ここに眠っているリソース(水路)を綺麗に整理して、新しいビジネスモデル(田んぼ)を実装すれば、ここは最高のポテンシャルを発揮する。渋谷本店で培った現場開拓のノウハウ、ここで全部ぶつけてみせましょう」
周りの誰もが「渋谷のトップ営業マンが、なんでわざわざこんな田舎に……」と不思議そうな顔をする中、なかのめさんは一人、パーカーの袖をまくり、地元の泥に足を突っ込んで、地味に、そして誰よりも合理的に、地方支社のインフラ(水路とルール)を整え始めました。
都会のハデなキャリア(模様)をあっさりと引き算し、次の現場で生み出す成果(中身)だけを見つめて泥にまみれる。この「渋谷本店からの大転勤」こそが、のちに大崎地方で伝説となる仕事人・なかのめさんの、ローカルサバイバル劇の本格的な幕開けだったのです。
『地味なサラリーマンなかのめさん』1話 ルーツは超名門VC!なのに現場で泥にまみれる
『地味なサラリーマンなかのめさん』2話 東京の超一等地から大崎へ(渋谷本店からの大転勤)
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