### 第四章:渋谷家の習い
その言葉を聞いた渋谷は、少し呆れたような顔をしつつも、静かに頷いた。相手の傲慢さは、奥州という未知の土地への恐怖と困惑の裏返しに過ぎなかったのだと、ようやく理解できたからだ。
「『助けてくれ』か。……大層な自信家だと思っていたが、意外と切羽詰まっているのだな。いいだろう。困っている者に背を向けるのは、我ら渋谷家の習いにはない」
渋谷は立ち上がり、かつての敵に向かって手を差し出した。
「おぬしの負けではない。俺の負けでもない。だが、助けを求められた以上、この渋谷が斯波の最強の盾になってやろう。京の権威ではなく、この地の民を守るために、俺の知識と力を使ってくれ」
当主は、渋谷の泥で汚れた手を見つめた。それは京の絹の袖よりも、遥かに力強く、信頼できる手に見えた。彼は震える手でその手をしっかりと握り返した。
「……感謝する。おぬしの義、生涯忘れることはない」
「ようこそ 大崎へ」
その瞬間、二人の間にあった壁は消え去り、敵から「同胞」へと、役割が静かに、しかし劇的に切り替わった。渋谷にとっては、戦う理由が「斯波を追い出すこと」から、「斯波と共にこの地を守ること」へと変わったのである。彼は斯波の軍門に降るのではない。あくまで、自らの意志でこの地の平和を「助ける」ために、その身を投じる決意をしたのだ。
そして斯波は師山に城を立て斯波から土地の名前をとり大崎と名を変えた
渋谷はその近くの敷玉に兵庫館を建て大崎を守った。
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